本記事では「現状維持バイアス(Status Quo Bias)」について説明しています。
その理由は、現状維持バイアスを理解し、自覚するだけで、人生は豊かな方向に、変わっていくと思われるからです。
現状維持バイアスとは?
現状維持バイアス(Status Quo Bias)とは、知らないものや経験したことのないものに抵抗を感じ、自分が置かれた現在の状況に固執してしまう傾向のことです。人の意思決定においてとても強力な力を持つとされています。
「現状維持バイアス」は、1988年にリチャード・ゼックハウザー、ウィリアム・サミュエルソンにより提唱された。
現状維持バイアスのメリット
現状維持バイアスのメリットとしては「新たな損失」の可能性を低くできるということです。
変化がなければ「より良い状態」にもなりませんが「より悪い状態」にもなりません。つまり、「種の保存」という生物の目的を考えるとメリットがあるのだと思います。
例えば、行き慣れたお店で食事をする場合、「一度食べておいしかったもの」をついつい注文してしまう経験は誰しもが持っているのではないでしょうか?なぜなら、もし食べたことのないものを注文して美味しくなかった場合、それはその人にとって「損失」になります。
とても身近な生活のなかにも「現状維持バイアス」が密接に関係しているわけです。
現状維持バイアスのデメリット
次に、現状維持バイアスによりデメリットについて。
それは「有益」な変化を遠ざけてしまうということです。とくに現代においてはデメリットが大きいはずです。
これには時代とともに変化してきた環境の影響も大きいと思うので例をあげます。
自然の中で暮らしていた大昔の人類であれば「十分な食べ物、寝床がある環境」を捨てて、新たな居住地を求めることはとても危険なことだったかもしれません。つまり現状維持バイアスは生命の維持に必要だったのです。
ところが、現代ではどうでしょう?
「生命の維持」は比較的楽にクリアでき、逆に私たちをとりまく環境は目まぐるしく変わっています。
つまり、「衣・食・住」がある程度整ってしまった現代では「現状維持バイアス」はデメリットのほうが大きいのではないでしょうか?
現状維持バイアスを自覚することが重要
では、「現状維持バイアスを自覚する」ということを考えてみましょう。いくつか例をあげてみたいと思います。
転職したいのに今の仕事を続けてしまう
数多くの人が陥ってしまうのがこちらの悩みだと思います。現在の会社にそれほど満足しておらず、「転職したい」と思いながらも一歩が踏み出せない・・
携帯キャリアの依存から抜けられない
格安SIMに変更すれば月々5000円節約できると知っていながらも、ずるずると高い料金を支払って大手キャリアの携帯料金を払い続けてしまう。
モノを捨てることができない
押入れには昔購入した高価な服やバッグがたくさん。使うことはないけれどもなかなか捨てることができない。
そんなときには「ああ、今自分は現状維持バイアス」に陥っているな。と自覚するだけでも小さな一歩を踏み出すことができるかもしれません。
まとめ
現状維持バイアスは誰もがもつ、人間の根源的な価値観です。つまりどんなに賢い人でも陥る可能性があるということ。
逆をいえば、現状維持バイアスを自覚し、意識して外せる人間には大きなチャンスを手にする可能性があるかもしれません。ウォルト・ディズニーの言葉にもこんなものがあります。
現状維持では後退するばかりである。
ウォルト・ディズニー
日々の生活で意識してみると、良いかもしれませんね。